「民藝を知る会」記録集 案内状編 第1回
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民藝を知る会 第1回 案内状
ポスター 森ひろ子(イラストレーター)作
和寧文化社・主催 文化の集い 「民藝を知る会」 第1回 日時 2007年11月17日(土) 午後4時から
会場 喫茶美術館 (参加者多数の場合は、伊古奈)
参加費 1500円・ワンドリンク付(要予約)
第一部 連続民藝談義 「民藝の『民』について」 講師 丁章(詩人・和寧文化社代表)
第二部 参加者交流のための茶話会
私にとって「民藝」とは、生い立ちそのものでした。両親が民藝蒐集家であったため、わが家の生活は民藝と共にあり、そして島岡達三作品を主にしたその蒐集が、いつしか両親に民藝美術館設立の夢を抱かせ、ついには88年に東大阪にて「喫茶美術館」の設立、2001年には北海道美瑛にて「新星館」設立に至ったことは、皆様もご承知いただいているとおりです。 このたび小社が「民藝を知る会」を始めるに至ったいきさつは、およそ五年前までさかのぼります。02年に東京民藝協会の方々が視察旅行で小社にご来訪くださり、その旅行団の中に、福本稔氏(当時は日本民藝協会専務理事。現在は常任監事)がいらっしゃいました。 そのとき以来、福本氏はたびたび小社に足を運んでくださるようになりましたが、ご来訪のたびに話題になるのが、民藝の将来について、特に、これからの民藝を担ってゆく新しい人々をどのように集め、育ててゆくかということでした。そしてそのために小社にも何か一役買ってもらえればと、福本氏は期待を込めておっしゃってくださいます。 私も民藝によって育てられた人間の一人ですから、民藝のために何か恩返しができればと、そう考えてはみるのですが、はたして自分に何ができるのかというその応えを想いあぐねているうちに、一年二年と月日ばかりが流れてしまいます。 そのような或る日、福本氏が何度目かのご来訪のとき、雑談の中でふと、次のようなとても興味深いことをおっしゃいました。 ―― 民藝の人には「もの」派と「こと」派がいる これはけっして福本氏の民藝論でも何でもなく、ただ雑談の中で出てきたたわいのない一言にすぎません。しかしながらそのような民藝の見方は私にはとても新鮮におもえて、ついつい私も、 「だったら、ぼくは『こと』派です」 と、たわいもなく応えたものでした。 私は詩人として日々言葉をつむいでいる人間ですが、「美」や「もの」を見る目がどれほど自分に具わっているかはじつに心許ないものです。ただ、「こと」についてならば、言葉をつむいでいるものとして、民藝のために何かできることがあるかもしれないと想い、その想い付きのまま、右の「民藝を知る会」を始めることに至った次第です。 「民藝」とは「民衆的工藝」の意であることは、あえて言うまでもありません。ただ、この数年私は民藝について想ううちに、(それでは民藝における「民衆」とはいったい何なのか?)という命題をふと抱くようになりました。これまで民藝の世界では、民藝の「藝」にあたる「工藝」についての関心は高く、議論も多くなされてきましたが、「民」にあたる「民衆」についての関心や議論はさほど盛んでなかったようにもおもいます。 僭越ながらそのような想いをふまえて、このたびの小社主催の「民藝を知る会」では、第一部として、「民藝の『民』について」をテーマに、私が想い付くままの話を語ります。第一回ゆえに今回の話は、私と民藝の縁について、肩の凝らない話にしたいとおもっています。 第二部は、参加者による情報交換、学びあう場にしたいとおもいますゆえ、老若男女、「もの」派「こと」派も、民藝好きの方、民藝を知りたい方ならばどなたでもご参加いただき、民藝交流を深めてもらえればとおもいます。 皆様、お誘い合わせのうえ、どうぞお越しください。 「民藝を知る会」へのご参加を心よりお待ちいたしております。
和寧文化社代表 丁章
(この集いは終了いたしました) |